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2009年10月24日 (土)

優柔不断

名護に来てもうすぐ3年。よく利用する店もおのずと絞られてきた。

たとえば理髪店。肌が弱いのか、床屋で髭をゾリゾリ剃られるのが苦痛だった。沖縄にはカットとシャンプーのみでOKという店がけっこうある。髭剃りから解放されるうえに料金もいくらか安い。そうした店のひとつに毎回通うようになっていた。

その日、店に入るといつものネーネーに招かれた。例によってカット&シャンプーと告げる。散髪中はほとんど話をしない。ヘアスタイルの確認さえ済めば、あとは椅子に深く体を沈めてリズミカルな鋏の感触に浸るだけ。

クーラー、寒くないですかと聞かれた。すこし寒かったけど大丈夫ですと答える。眉の毛も剃りましょうねと笑顔で言われた。髭剃りは要らないけど、眉のムダ毛ならいいかと思って小さく頷いた。

椅子が大きく倒れ、口の周りにシャボンが塗られていく。髭剃りはしないハズなんだけどと思いながら言いだしあぐねていると、蒸しタオルで口を覆われてしまった。

うすく目を閉じながら「俺、このまま髭を剃られちゃうんだぜ」と人ごとのように思った。それでもよかった。抵抗せずに身を委ねておきたい気分だった。

ネーネーの髭剃りはぜんぜん痛くなかった。丁寧かつ細やか。髭剃りの道具も違うのだろう。ほかの店では血が滲んだりするのだが。

髭剃りが加わったぶん、いつもより時間をかけて散髪は終わった。帰り際に受付で支払いをするとき、店の人にレギュラーね? と聞かれてネーネーは「あっ」と小さく声をあげた。カットとシャンプーのみの注文だったことを思いだしたらしい。

店の人はカット&シャンプーの料金でいいという。トクをしたような申し訳ないような微妙な気分だった。入口まで笑顔で見送ってくれたネーネーに思わず弁明していた。

すみません、優柔不断で・・・。

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