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2011年1月28日 (金)

バケツの穴

東京の小さな出版社で働いていたことがある。社員は10人ほど、社長はワンマンで押しが強く、その息子が専務をつとめていた。社長と専務がたびたび親子ゲンカをしていたのを思いだす。入社してすぐに、ここは長く居るところではないと思った。

数カ月経って仕事にも慣れた頃、社長がコーヒーを飲みに行こうと誘ってくれた。案内されたのは会社から歩いて数分の喫茶店。店内には重厚な雰囲気が漂い、歴史を感じさせた。

運ばれてきたコーヒーに手を伸ばそうとすると、「キミ、ここのカップは高いんだから気をつけてくれよ」などと社長が言う。割らねぇよ、ガキじゃないんだから・・・とゲンナリした気持ちでコーヒーを啜っていると、社長はバケツの穴について語りはじめた。

たとえバケツに穴が開いていても水を注ぎ続けていればバケツの水は涸れることがない。確かそんな内容だった。どこかで聞いたような話だと思った。自己啓発の本で見つけて、ウチの社員への訓辞に使えると思ったのかもしれない。

1年数カ月でその会社を辞めた。一緒に働いていた社員について思いだすこともほとんどなくなった。それでも、バケツの穴の話だけは妙に覚えている。

バブルがはじけてまもない頃に聞いた、どーでもよい人間のどーでもよい話。20年ちかく経ってそれが脳裏によみがえるのは、水を注ぐことを怠ったツケが今になってまわってきていることを仕事で痛感したからだろう。

そんなわけで、今年の必須課題はバケツに水を注ぐこと。穴も大きくなっているので大量の水が必要だ。その一助にと購入した電子ブックリーダーのKindleがもうすぐ届く。ちょっと楽しみかも。

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もう届いていた・・・

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