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2013年6月

2013年6月28日 (金)

静浮風読

今日も名護湾には白波が立っている。梅雨が明けてカーチベー(夏至南風)のシーズンがやってきた。仕事は切れても風が止まないのでカヤックは出せない。そんな日は家で本を読む。

すべての窓を全開にして風通しのよい場所にリクライニングチェアを置く。前方には青い名護湾が広がっている。カヤックの天敵である憎いカーチベーが心地よい読書環境を生んでいた。

目の前に広げたのは「沖縄短編小説集2」。琉球新報短編小説賞の受賞作品をまとめたものだ。テーマはさまざまだが、基地や戦争体験、島の慣習など沖縄の地域に根ざしたものが多い。

気候や自然に憧れて移住した名護での暮らしも7年目を迎え、自分が住んでいる土地の文化や歴史にも関心が芽生えてきたらしい。その入門編としてこの作品集はうってつけに思えた。

とはいえ、そこは小説。フィクションの世界に浸るのもまた楽しい。活字を目で追いながら、小説を読むことへの関心が再燃するのを感じていた。

本をテーブルに置いて前方の海へ目を向ける。昔、中国の海南島で会った日本人のことが脳裏に浮かんだ。50代前半の独身男性。大阪出身だったと思う。味にうるさく、この食材は××のタレで食べるのが一番みたいな話をよくしていた。釣りやゴルフ、ビリヤードなど過去の趣味遍歴も多彩だった。一度始めるとのめりこむタチらしい。

それで、今は何に凝っているんですか? そのおじさんが最後に行き着いた趣味は何なのか興味を覚えて質問した。しばし逡巡したのち、照れくさそうな笑みを浮かべて彼は言った。読書かな。

拍子抜けしたその答えも、同世代になった今では琴線に触れるものを感じる。AmazonのKindle Paperwhiteがまた無性に欲しくなってきた。

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ウィンドサーフィンも楽しいかも・・・

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2013年6月16日 (日)

百均トワイス

アイラモルトに開眼してバー通いがいっそう楽しくなった。が、飲みに行く頻度が高くなり、オーダーに占めるウイスキーの割合が増すにしたがって飲酒コストが上昇するようになった。

住民税の納税通知がこれに追い打ちをかける。昨年は仕事量が多少増えたこともあり、今年はやけに高く感じた。住民税が高いということは、そのあとの国民健康保険税も高額になるということ。

今年も半分終わろうとしているが、去年よりも収入は減っている。そこで節約を心がけることにした。その一環として「飲酒記録帳」をExcelで作成し、飲酒コストを一元管理する。1週間の飲み代に上限を設け、月間の飲酒コストを一定の枠内に収めようと目論んだ。上限額に達して、飲みに行きたいけど今週はもうダメなんてことも起こるかも・・・。

そんなときに備えて家飲み用のアイラモルトを調達した。ボウモアの12年もの。非常時用の備蓄燃料のはずが、買った日の晩に速攻で開けてしまった。

百均で買った計量カップと小グラスでトワイスアップを作る。つまみにはビター・チョコレートを用意した。ジャズ・ピアノのBGMを聴きながらグラスを傾ける。

よく飲むお気に入りの銘柄なのに、ひとくち飲んで何かが違うと思う。「あぁ旨い」という感慨が湧いてこないのだ。

家で飲むと酒量が増えるという心配は杞憂に終わった。なんかイマイチなのだ。非日常的なバーという演出された空間が味覚に一役買っていたのは間違いない。

行きつけのバーの情景を頭のなかで思い起こす。12年前には何をしていました? ボウモアの12年ものを注文したときにマスターに言われた言葉が脳裏に浮かんだ。12年前の自分は何をしていたっけ? 横浜に居てまだ結婚していた? 思いだそうとすればするほど酔いは醒めていった。

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2013年6月12日 (水)

アイラの教え

文庫があれば文庫を買う。それが本を買うときの基本原則だった。電車の中で読むことが多いので小さいほうがよい。値段も安いし、本棚のスペースも節約できる。

この基本原則を加齢(老眼)が覆した。文庫だと文字が小さくて読みにくい。最近は文庫があってもあえて単行本を買う。新品がないときや、新品でなくてもいいときはamazonで状態のよい中古本を探す。

そうやって、アイラモルト関連の中古本をこの1カ月の間に3冊購入した。そのうちの1冊が村上春樹のエッセー「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」。シングル・モルトの聖地であるスコットランドのアイラ島とアイルランドを訪れたときの紀行文だ。これがなかなか良い。

文庫でなく単行本を選んだ理由は文字の大きさだけではなかった。写真がふんだんに使われているので、判型が大きいほうが楽しめると考えたからだ。

思惑は大当たり。アイラ島のすこし荒涼とした風景や歴史が刻まれた蒸留所の様子を大きめの写真で満喫できる。余白をたっぷりとったレイアウトなので本文も読みやすい。パラパラめくるのが楽しい本に久しぶりに出会えた気がする。

写真と洒脱な文章だけでも十分に楽しめるが、アイラモルトに関する有益な知識も授けてくれる。たとえば、村上春樹によるアイラ・ウイスキーの「癖のある順」ランキング。それによると、1位がアードベッグで2位がラガヴーリン。以下ラフロイグ、カリラ、ボウモアと続く。自分の印象も結構ちかい。

現地ではウイスキーと水を半々で割って飲む人が多いという情報も有益だった。個人的に好きなトワイスアップの飲み方にお墨付きを与えられた気がした。

村上春樹はアイラ島でボウモアとラフロイグの蒸留所を見学し、小さな島でいくつもの蒸留所が「棲み分け」をしていることに驚く。それぞれの蒸留所にそれぞれの蒸留レシピがあるのだという。そして、次のように書いている。

「レシピとは要するに生き方である。何をとり、何を捨てるかという価値基準のようなものである。何かを捨てないものには、何もとれない」

ウイスキー作りの哲学はそのまま人生哲学にほかならない。奥深い人生の教えに触れて、また無性にアイラモルトが飲みたくなってきた。

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