« アイラモルトの悦楽 | トップページ | 百均トワイス »

2013年6月12日 (水)

アイラの教え

文庫があれば文庫を買う。それが本を買うときの基本原則だった。電車の中で読むことが多いので小さいほうがよい。値段も安いし、本棚のスペースも節約できる。

この基本原則を加齢(老眼)が覆した。文庫だと文字が小さくて読みにくい。最近は文庫があってもあえて単行本を買う。新品がないときや、新品でなくてもいいときはamazonで状態のよい中古本を探す。

そうやって、アイラモルト関連の中古本をこの1カ月の間に3冊購入した。そのうちの1冊が村上春樹のエッセー「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」。シングル・モルトの聖地であるスコットランドのアイラ島とアイルランドを訪れたときの紀行文だ。これがなかなか良い。

文庫でなく単行本を選んだ理由は文字の大きさだけではなかった。写真がふんだんに使われているので、判型が大きいほうが楽しめると考えたからだ。

思惑は大当たり。アイラ島のすこし荒涼とした風景や歴史が刻まれた蒸留所の様子を大きめの写真で満喫できる。余白をたっぷりとったレイアウトなので本文も読みやすい。パラパラめくるのが楽しい本に久しぶりに出会えた気がする。

写真と洒脱な文章だけでも十分に楽しめるが、アイラモルトに関する有益な知識も授けてくれる。たとえば、村上春樹によるアイラ・ウイスキーの「癖のある順」ランキング。それによると、1位がアードベッグで2位がラガヴーリン。以下ラフロイグ、カリラ、ボウモアと続く。自分の印象も結構ちかい。

現地ではウイスキーと水を半々で割って飲む人が多いという情報も有益だった。個人的に好きなトワイスアップの飲み方にお墨付きを与えられた気がした。

村上春樹はアイラ島でボウモアとラフロイグの蒸留所を見学し、小さな島でいくつもの蒸留所が「棲み分け」をしていることに驚く。それぞれの蒸留所にそれぞれの蒸留レシピがあるのだという。そして、次のように書いている。

「レシピとは要するに生き方である。何をとり、何を捨てるかという価値基準のようなものである。何かを捨てないものには、何もとれない」

ウイスキー作りの哲学はそのまま人生哲学にほかならない。奥深い人生の教えに触れて、また無性にアイラモルトが飲みたくなってきた。

S130612w6_01e

|

« アイラモルトの悦楽 | トップページ | 百均トワイス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« アイラモルトの悦楽 | トップページ | 百均トワイス »