« 梅雨明けの海 | トップページ | ヘルシー・サマー・ライフ »

2014年7月14日 (月)

ベランダで読む物語

青い空に碧い海。失業状態が2週目に突入し、気分はいつしか夏のバカンス。海から吹き寄せる風が心地よい。ベランダにリクライニングチェアを持ち出して「小説」を読むことにした。

小説といっても文庫本や単行本ではない。B5サイズのワープロ原稿。書式が20字×20行なのは新人賞の応募規定がそうだったから。30年ちかく前、旅の体験を踏まえて初めて書いた「小説」だった。

最初の数ページを読み、懐かしいと思った。読み進めていくうちに気分が重たくなってきた。30ページでベランダからブン投げたくなった。そして、これはダメだわ・・・と改めて思った。

それでも、気を取り直して最後まで読むことにした。30年ちかく経過して、ダメな自作にやっと向き合おうという気になったのだ。それが小説に値しない理由をシカと確かめてやろうと思った。

思い当たる点はいろいろあった。観念に走り、表現に凝りすぎて文章が浮き足立っていたり、自分が体験したことをアレコレ盛り込みすぎて構成が散漫になっていたり。

端的にいえば、すべてが未熟で未消化だった。伝えたいという想いは強くてもテクニックが伴っていなかった――ということではない。そもそも、他人に読ませる物語など持っていなかった。「小説」に名を借りた自分自身の取扱説明書が欲しかっただけなのだ。

20代の頃に書いた4編の「小説」を読み終わると、すでに陽は西に傾いていた。1作ごとに表現はマシになっていた。それでも、内容は最後まで自分の取扱説明書に終始し、他人に読ませる物語へと進化することはなかった。

それから四半世紀。50代になって自分の取扱説明書を書く必要はなくなった。就職もせずに実家にパラサイトしていた20代と比べればそれなりに人生経験も積んだ。

欠けているのは情熱だ。20代は未熟でも情熱があった。創作への情熱を呼び覚ますために何ができるのか。仕事がヒマになり、最近はそんなことばかり考えている。

S140622d51_01e

|

« 梅雨明けの海 | トップページ | ヘルシー・サマー・ライフ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 梅雨明けの海 | トップページ | ヘルシー・サマー・ライフ »